IT投資やクラウドコストの可視化を通じて、企業の意思決定を支援する『Apptio』。日本アイ・ビー・エム株式会社では、これまで接点のなかった企業やキーマンへのアプローチ手段として、昨年度『キーマンレター』を導入しました。新規顧客開拓に手応えを感じ、今年度も再契約。新たな顧客との接点から、具体的な商談へ進む案件も生まれています。
今回は、『キーマンレター』を導入した背景や再契約に至った理由、導入後の成果について、Apptio事業部の福岡祐希様にお話を伺いました。
物流業界にて、新規開拓を中心とした営業に従事した後、2021年2月に日本アイ・ビー・エム株式会社へ入社。製品営業や顧客担当営業、パートナー営業など、一貫して営業領域で経験を積む。現在はApptio事業部に所属し、SDR(営業開発)として新規顧客の開拓を担当している。

属人的な営業スタイルからの転換と、接点のない企業への新規開拓が課題に
── Apptioでは、どのような業界や企業をターゲットに新規開拓を進めているのでしょうか。
Apptioは特定の業界に限定したサービスではなく、製造や金融、保険、流通、運輸、サービスなど、幅広い業界の企業様を対象としています。中でも、IT投資やクラウドに一定規模のコストをかけている企業は、Apptioの価値を感じていただきやすいと考えています。新規開拓では売上規模なども踏まえ、IBMがこれまで強みとしてきた金融・保険業界に加えて、製造や通信、サービス、医療などにも対象を広げています。特にDXを推進している企業は、積極的にアプローチしていきたい領域ですね。
── そうした企業への新規開拓を進める中で、どのような課題を感じていましたか?
これまでIBMでは、営業担当者がお客様と直接コミュニケーションを取り、そこで得たニーズをもとに提案につなげる営業スタイルが中心でした。一方、新規開拓の対象を広げるには、従来とは異なるアプローチも欠かせません。現在は、メールの開封やリンクのクリックといったデータからお客様の関心を捉え、適切なタイミングでアプローチするなど、デジタルを活用した営業にも力を入れています。まさに、営業スタイルそのものが変革期にあると感じています。特に新規開拓では、お客様が関心を示したタイミングを逃さず、スピーディーにアプローチすることが重要です。そのため、新たな接点をつくり、すぐに動ける仕組みが必要でした。
── 特に、これまで接点のなかった企業へのアプローチにおいて、どのような難しさがありましたか?
業界や売上規模などからターゲット企業を選定し、IBMが保有するデータベースと照らし合わせながらアプローチ先を絞り込んでいました。ただ、狙いたい企業が決まっても、アプローチしたいキーマンのコンタクト情報を持っているとは限りません。特にこれまで接点のなかった“ホワイトスペース”の企業では、「この企業の、この部署の方にアプローチしたい」と思っても、最初の接点をつくること自体が難しいケースがありました。ターゲットを選定した先で、キーマンとどう接点をつくるのか。そこが新規開拓における大きな課題でした。
自社にない顧客情報とスピード感が『キーマンレター』導入の決め手に
── 新規開拓の課題を解決するために、外部サービスの活用を検討した背景を教えてください。
コロナ禍以降は、業界問わず働き方が大きく変わったことから、電話をかけても担当者につながりにくいケースが増えました。従来の方法だけでは接点をつくりにくい企業もある中、新たなアプローチ手段として外部サービスの活用を検討したのがきっかけです。インターネットで情報を調べたり、マーケティング部門から情報を集めたりしながら、BDR領域のサービスをいくつか比較していきました。
── 複数のサービスを比較する中で、『キーマンレター』を選んだ決め手は何だったのでしょうか?
一番の決め手は、自社が保有していないコンタクト情報を活用できることでした。『キーマンレター』なら、これまで接点を持てていなかった企業にも、レターとコールを組み合わせてアプローチできます。「レターを送って電話をかける」という方法だけを見ると、昔ながらの営業手法にも見えます。ただ、オンラインでの営業活動が増え、直接つながることが難しくなった今だからこそ、新たな接点をつくる手段として有効なのではないかと強く感じました。もう一つの決め手は、スピードです。顧客リストを管理画面にアップロードしてからアプローチを始めるまでが非常にスムーズで、自社側の負担も抑えられます。新規開拓ではスピードが重要なので、すぐに動き出せる点は非常に大きかったですね。

初回の経験を活かして再契約。細かな連携でアプローチの精度を高める
── 『キーマンレター』は昨年度に初めて導入されたそうですね。
昨年度は、今回の新規開拓における外部サービスの活用が初めてだったため、「まずは一度使ってみよう」と、トライアルに近い感覚で導入しました。そのため、こちらから細かく要望を出すというよりも、キーマンレター側にお任せする部分が多かったですね。実際に利用する中で、こちらからもターゲットやアプローチ方法について細かく共有することで、より有効に活用できるのではないかという気づきがありました。そこで、「初回の経験を活かし、今度はより連携しながら取り組んでみよう」と、今年度の再契約に至りました。
── 再契約後は、キーマンレター側とどのように連携しながら運用を進めていったのでしょうか?
再契約後は、狙いたいターゲットなどを事前に共有し、双方ですり合わせながら進めました。特に力を入れたのが、コールスクリプトの調整です。キーマンレター側にベースとなるスクリプトをご用意いただき、実際のコールで出てきたお客様からの質問や反応を共有してもらいました。それをもとに、「こういう質問にはこう回答してほしい」とフィードバックし、その都度ブラッシュアップしていく形です。一度決めたスクリプトをそのまま使い続けるのではなく、お客様の反応を見ながら細かく調整できたのは非常によかったですね。こちらの意図も汲み取っていただき、一緒にアプローチ方法を改善していけたと感じています。
── 継続して利用する中で、運用面ではどのような点に『キーマンレター』の使いやすさを感じていますか?
特に感じているのは、管理画面の使いやすさです。必要な情報がわかりやすく整理されていて、アプローチの進捗状況もすぐに確認できます。また、顧客情報が随時更新され、最新のデータを確認できる点も助かっています。リストをアップロードしてからアプローチを始めるまでが早く、こちらで多くの作業を抱えずに進められる点もメリットですね。

10件のアポイントを獲得、POCを検討する案件も。事業部を越えた活用を目指す
── 再契約後、実際にどのような成果につながっていますか?
再契約後、これまでに10件のアポイントを獲得しています。そのうち3〜4件が次のステップへ進み、具体的な商談につながりました。中には、POC(概念実証)の実施を検討している企業も出てきています。さらに、アポイントをきっかけに、当初は想定していなかったニーズが見つかることもありました。たとえば、Apptio以外のIBM製品やサービスについて話を聞きたいという声があり、事業部を横断した案件の創出にもつながっています。Apptioの提案にとどまらず、これまで接点のなかった企業との新たなビジネスの可能性が広がっていることにも、大きな手応えを感じています。
── 今後、Apptioを通じて、企業のどのような課題解決を支援していきたいと考えていますか?
今後、特にニーズが高まると考えているのがAI活用の領域です。これまではAIを試験的に使う企業が多かったものの、現在は実際のビジネスで本格活用するフェーズへ移りつつあります。そうなると、「どのようなKPIを設定するのか」「AIの活用がどれだけビジネスの価値につながっているのか」といった点も、経営層から問われるようになります。こうした領域は、まさにApptioが支援できる部分です。AIの本格活用はこれからという企業も多く、潜在的なニーズは大きいと感じていますね。
── そうした今後の新規開拓において、『キーマンレター』をどのように活用していきたいと考えていますか?
現在、『キーマンレター』はスポットでの活用が中心ですが、来期の継続利用についても事業部内で検討を進めています。今後、活用の幅を広げるためには、今回のような事例を社内で一つひとつ増やしていくことが大切です。数値として効果が出ていることを社内に発信するのも、私の役割の一つだと思っています。IBMにはApptio以外にも、AI関連をはじめ、現在力を入れている製品があります。まずはApptioで成果を積み重ねながら、将来的には他の事業部とも連携して『キーマンレター』を活用していければと考えています。


